ITS-1領域を基にしたPCR法によるカラス腸内容物からのEimeria属原虫の検出とその分子系統解析

書誌事項

タイトル別名
  • Detection of Eimeria sp. from intestinal contents of wild crows by PCR based on ITS-1 region and phylogenetic analyses
  • ITS-1 リョウイキ オ モト ニ シタ PCRホウ ニ ヨル カラス チョウ ナイヨウブツ カラ ノ Eimeriaゾク ゲンチュウ ノ ケンシュツ ト ソノ ブンシ ケイトウ カイセキ

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抄録

近年,野生鳥獣による家畜や家禽への病原体の伝播リスクの評価を行う研究が数多く実施されている。家畜や家禽の腸管にEimeria属やIsospora属の原虫の感染を起こすコクシジウム症は,腸炎による体重減少や発育遅延によって畜産業に対して大きな経済的な打撃を与えるが,それにも関わらず野生鳥獣による家畜や家禽へのEimeria属原虫の伝播リスクの評価を行う研究はほとんど実施されていない。本研究では茨城県内で捕獲された野生カラスの腸内容物からDNAを精製し,そこからEimeria属原虫由来のInternal transcribed spacer 1(ITS-1)塩基配列をPCR法により検出し,分子系統学解析を行うことで生物学的伝播リスクの評価を行った。その結果,77羽中24羽(31%)のカラスからEimeria属原虫のITS-1と考えられる塩基配列が検出された。本研究では検出されたEimeria属原虫の種の同定にまでは至らなかったが,本研究でカラスから検出されたITS-1配列による系統樹解析からは,カラスが保有していたEimeria属は家畜や家禽へ感染することが知られている種とは系統学的に異なる可能性が高く,カラスによる家畜や家禽へのEimeria属原虫の生物学的伝播リスクは低いことが推察された。

収録刊行物

  • 家畜衛生学雑誌

    家畜衛生学雑誌 45 (3), 71-78, 2019-12

    武蔵野 : 日本家畜衛生学会

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