村落裁判の形式化と戦略的利用 : ニューギニア高地エンガ州における権威の希求

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  • ソンラク サイバン ノ ケイシキカ ト センリャクテキ リヨウ : ニューギニア コウチ エンガシュウ ニ オケル ケンイ ノ キキュウ

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本稿ではニューギニア高地エンガ州の事例から、判事がいかに自己を権威づけ、その権威を人々がどのように認め、村落裁判を利用するかを考察する。パプアニューギニアでは独立時に、住民にとって利用しやすい法制度として、村落裁判所が司法制度の末端に設けられた。村落裁判法の規定では、村落裁判は地域ごとの慣習に基づき、判決を下すとされる。一方、実際の村落裁判は、慣習的な仲裁とはかけ離れたものとなっている。こうした点を、従来の研究は、村落裁判の判事が国家の近代型裁判を模倣することで、自らを権威づける試みとした。しかし、本稿の事例から明らかになるのは、その試みが部分的にしか成功しえない点である。村落裁判は警察等の物理的な強制力をもたず、人々によって見せかけの権威として戦略的に利用される傾向にある。本稿は、そうした事例を植民地行政官に由来する外部の権威との関連から考察する。

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