Books That Travelled from Kathmandu to Tokyo ―Revisiting the Kawaguchi Manuscripts in the Collections of Rissho University, U-Tokyo and the Toyo Bunko―

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タイトル別名
  • カトマンドゥから東京へと旅した書物―立正大学、東京大学、東洋文庫所蔵川口慧海将来ネパール梵語写本再見分―

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説明

ネパールに残存するサンスクリット語(梵語)写本はインドにおける大乗仏教の姿を現在に伝える貴重な資料であり、仏教研究において計り知れない価値をもっている。英国東インド会社の駐在員としてカトマンドゥに着任したB.H.ホジソンは、ネパールが仏教梵語写本の宝庫であることを発見し、公表した。ホジソンの報告後、その貴重な研究資料を手に入れようとネパール人りを目指す人々が相次いだ。二人の傑出した日本人、河口慧海と高楠順次郎もまたネパールに向けての困難な旅を敢行した。彼らが現地で入手した梵語仏教写本は日本へと将来され、立正大学、東京大学、東洋文庫に分有されて、今日、日本における最大の梵語写本のコレクションを構成している。河口・高楠のコレクション以外にも日本にはいくつかのネパール写本コレクションが存在しており、それらが国内に存在していることにより、日本の仏教研究者たちは相当な研究上の利益を享受しえているのである。今回は河口慧海により将来された仏教梵語写本を訪ねて、日本の上記三つの機関を訪れた。立正大学所蔵の写本の白眉はGaṇḍavyūha(『華厳経』入法界品)で、これは最終葉一枚を除く全紙が残っている非常に貴重なものである。東京大学には河口が高楠と共にもたらした写本の大半が所蔵されている。このコレクションのカタログは最初、松濤誠廉(1903-1979)により手書きのノートとして準備され、後に出版された。東京大学のコレクションには数本の法華経の写本が含まれており、これが日本のネパール写本に対する興味を掻き立てた一面もある。東洋文庫は、東洋学に関する世界有数の図書館であり、ここには河口が将来したチベット語経典類とともにまとまった数の梵語写本のコレクションが残されている。

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