A型胃炎に悪性貧血, 早期胃癌を合併した1例

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タイトル別名
  • A case of type A gastritis complicated by pernicious anemia and early gastric cancer

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説明

症例は86歳男性. 1週間前よりふらつきが出現するようになったため当院を受診した. 血液検査でHb5.3g/dLと重度の貧血を認めたため精査目的に入院となった. 巨赤芽球性貧血であり, 血液検査, 内視鏡所見からA型胃炎に伴う悪性貧血と診断した. ビタミンB12を筋肉内投与することで貧血は改善した.また胃体上部後壁に25mm大の0 -Ⅰ病変を認め, 生検で高分化管状腺癌の診断であった. 内視鏡検査, 超音波内視鏡検査, 造影CT検査を施行し, 早期胃癌と診断した. 内視鏡的粘膜下層剥離術を施行し, 最終病理診断では深達度は粘膜にとどまり内視鏡的根治度Aであった. またその近傍に連続性を持たない10mm大の0-Ⅱa病変を認め, 同病変も高分化管状腺癌であった. 日常診療の際には,貧血の原因として A 型胃炎を念頭に置く必要があり,悪性貧血,胃癌の合併に注意を要する. H. pylori感染とそれに伴う疾患が減少する中で, 今後A型胃炎の特徴について熟知する必要があると考える.

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