インクルーシブな放課後等デイサービスの在り方に関する研究~東京都区内の放課後等デイサービスによる検討~

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  • A Study on the State of Inclusive After School Programs: Evaluating After School Programs in the Tokyo Metropolitan Area

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抄録

放課後等デイサービスは、2012(平成24)年の制度創設以来、事業所数は全国的に急増してきた。その放課後等デイサービスでは、利用する障害のある子どもの保護者支援をはじめ、子どもの発達支援において一定の成果をあげている。2015(平成27)年4 月に公表された「放課後等デイサービスガイドライン」(以下、ガイドライン)では、共生社会の実現に向けた後方支援の取組みを事業所に求めている。放課後等デイサービスを利用する子ども達は、特別支援学校や特別支援学級に在籍し、いわゆる特別な教育の場で学ぶ子ども達である。そのような子ども達が、放課後等の活動においても障害のある子ども達とのかかわりが中心となってしまったら、将来の共生社会の形成に大きな障壁となる可能性がある。そのような意味においてもガイドラインが示す共生社会の実現に向けた後方支援の取組みは重要な内容である。そのため本研究では、東京都区内の事業所523か所を対象にガイドラインに示す共生社会の実現に向けた後方支援の取組みの実態等を、アンケート調査を実施して明らかにすることを目的とした。回答率は、12.4%という低い回答率であったが、調査の結果から子どもの地域社会への参加・包摂(インクルージョン)を進めるための取り組みを実施している事業所は少なく、取り組みに消極的である事業所も一定の割合であることが明らかになった。さらに、放課後等デイサービス事業所は、運営主体が営利法人(企業)が多いことや、「平成30年度障害者福祉サービス等の報酬改定」で多くの事業所が減収となっていることも想定される。そのような放課後等デイサービスの現状があるからこそ、特別支援教育関係者をはじめ、地域福祉等の関係者等は、放課後等デイサービス事業所にガイドラインに示されるインクルーシブな視点からの事業を段階的に充実するよう支援していく必要性があることを提言している。

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