「やうなり>やうだ」の通時的変化

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  • ヨウナリ ヨウ ダ ノ ツウジテキ ヘンカ

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抄録

「やうなり>やうだ」は、形式名詞「やう」と指定の助動詞「なり」の連語にはじまり、近代語では一語化して、現実性の不透明な事態の様相を推定する助動詞になった。その用法には、類似するもの同士を関係づける、類縁性の用法(例示・一致・比況)と事態の様相を単独に表す、単独性の用法とが大別できる。例示・一致の用法には変化が乏しいが、近現代語の比況の用法にはその様相を不定的に表すことや類似度を強調する副詞の共起がふえている。通時的変化は単独性の用法によりめだつ。近現代語のその連用法には、目標を表す言い方など、事柄を志向的に捉える使い方がめだち、連体法には意識や感覚を表す体言などの下接ぐるみで、不透明な様相を捉える傾向がふえている。述語法には、現実性の不透明な事態の様相を確信のもてないまま、感覚や直観によっておおよそのさまとして試写・概言するような推定性がめだってきている。

identifier:KG000800000390

収録刊行物

  • 京都語文

    京都語文 8 102-119, 2001-10-06

    佛教大学国語国文学会

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