社会学としての“健康隠謀学”の構想

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タイトル別名
  • シャカイガク ト シテ ノ"ケンコウインボウガク"ノ コウソウ
  • Towards “Healthcare Plottology” as Sociology

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抄録

本稿は,健康に関する隠謀学を,社会学あるいは医療社会学の一分野としての「健康隠謀学」として構想するための試論です。まず(0)節では,(陰謀ではなく)「隠謀 plot」の用語法と「隠謀学 plottology」の定義を示しました。「隠謀学」は,筆者の造語で,この社会に満ち溢れている数々の「隠謀」を解読するための論理学であり,行動科学であり,文化的解剖学(アナトミー)です。特に本稿では隠謀をプロットとし,隠謀を企図することをプロッティングと表現します。(1)節の「隠謀学の生物学的基礎」では,陰謀が成り立つためには人間の思い込みが不可欠であることについて説明し,(2)節では,プロッティングのための権威的錯覚化の観念について述べ,コラーゲンなどを例に健康食品のCM戦略としてのプロットの謎解きを行ないました。(3)節では,健康隠謀学においてプロッティングの解釈に有用と思われるプラセーボ反応と「3た論法」という二つの装置について解説し,健康隠謀学の元祖ともいえる高橋晄正らの仕事についても紹介しました。そして最後に(4)節では,「生活習慣病」のレトリックについて分析し,それがもつプロットの問題点と産学官的コラボによるプロッティングとしての特性について解読しました。そして,これらの4節の記述を通じて健康に関する隠謀学的方法論の構想の一端を提示することで,健康の隠謀学が社会学の一分野として成立しうるかどうか,その可能性について問うてみました。

隠謀plot

健康隠謀学

プラセーボ反応

「3た論法」

「生活習慣病」

identifier:SO007100010736

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