「道化の華」の一つの引用 : ダンテ『神曲』「地獄の門」銘文引用に関する翻訳の問題点

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  • ドウケ ノ ハナ ノ ヒトツ ノ インヨウ ダンテ シンキョク ジゴク ノ モン メイブン インヨウ ニ カンスル ホンヤク ノ モンダイテン

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抄録

現在までこの「道化の華」の冒頭に用いられた「ここを過ぎて悲しみの市。」という一節は、ダンテの『神曲』からの引用であり、その翻訳としては、笠原伸生氏によっ提言された森鷗外訳『即興詩人』「神曲、吾友なる貴公子」の一節、「こゝすぎてうれへの市に」であると言われてきた。しかし、検討の結果、実はその翻訳は別にあるのではないか、という可能性が出てきた。小稿はその翻訳として、上田敏訳のテクストにあるものを一番大きな可能性とし、そこに書かれた「こゝすぎてかなしみの都へ」と「われすぎて愁の市へ」という訳稿を太宰が「道化の華」の冒頭に用いる際、一部改変し使用していたのだ、ということを提唱するものである。

翻訳

森鷗外

上田敏

ダンテ『神曲』

identifier:DO003100006398

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