書籍を模擬する遊び : 「見立絵本」にかんする疑問、から

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  • ショセキ オ モギ スル アソビ : 「 ミタテ エホン 」 ニ カンスル ギモン 、 カラ

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「見立絵本」と呼ばれてきた作品群には、近年、議論が進められてきた「見立て」の語義に即して、特定の主題に該当するものを別の事物で視覚的に仮構し、関連する語彙で説明をつけたものを集めた作だけでなく、既存の書物の形態に筋違いの内容を盛りこんで遊ぶ作品群が含まれる。後者の方法は、実は近世初期以来の類例を指摘でき、絵本とは呼び得ない作における書籍模擬の作品群との連続性も無視できない。なにより「見立て」ならぬ「やつし」として区別されてよい。いっぽうそれら書籍模擬の作品群こそ、広く共有された知の形式を土台とした戯れとして近世文芸の性格の一つをよく表すものといえ、それが近世中期に多様に花開いたことがこの時代の特徴をよく表している。

identifier:KG002600009132

Journal

  • 京都語文

    京都語文 26 58-71, 2018-11-24

    佛教大学国語国文学会

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