心理臨床におけるイニシエーション概念についての研究 --セラピストとクライエントの関係性に着目して--

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タイトル別名
  • A study on the concept of initiation in clinical psychology: focusing on the relationship between therapist and client
  • シンリ リンショウ ニ オケル イニシエーション ガイネン ニ ツイテ ノ ケンキュウ : セラピスト ト クライエント ノ カンケイセイ ニ チャクモク シテ

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説明

本研究は、心理臨床におけるイニシエーション概念について検討することを目的とした。イニシエーションとは、人生の節目において人間がある段階から別の段階へ移行するのを助ける儀式を意味し、文化人類学から心理臨床領域に導入された。本研究では、イニシエーションの観点から考察された事例研究17編を概観し、症状を未開社会のイニシエーション儀礼の再演と捉えるFreud的な視点と夢や箱庭に表れるイメージの流れをイニシエーションの展開として捉えるJung的な視点の2種類があることを論じた。また、セラピストとクライエントの関係性に着目し、イニシエーションの観点から考察された事例では、両者の"一体化"が生じやすい傾向があることを論じた。また、セラピスト自身が逆転移的な体験をクライエント理解につなげることがセラピストとしてのイニシエーションをもたらす可能性について論じた。今後の課題として、海外の事例も対象とすること等が指摘された。

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