慢性疼痛とマインドフルネス ―注意機能に関わる脳内ネットワークの観点から―

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  • Chronic Pain and Mindfulness:The Perspective of Brain Networks Related to Attention Function
  • マンセイ トウツウ ト マインドフルネス : チュウイ キノウ ニ カカワル ノウナイ ネットワーク ノ カンテン カラ

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抄録

マインドフルネス(mindfulness:MF)は「今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく,能動的に注意を向ける」といった注意力の訓練である.近年,MF における研究が大規模に行われており,ストレスの低減や疼痛の改善への効果が示され,エビデンスが蓄積されつつある.また,MF の介入が注意機能に関わる脳内ネットワークに影響を与える事が分かってきた.そのネットワークとして,現在へ注意を向ける制御に関わり,MF 時に働く中央実行ネットワーク(central executive network:CEN),MF と相反関係にあり,現在から注意がそれる状態であるマインドワンダリング(mind-wandering:MW)中に活性化するデフォルトモードネットワーク(default mode network:DMN)が挙げられる.慢性疼痛患者は,長期にわたって疼痛を経験することでDMN の過活動を引き起こすことが知られている.このDMN の活動異常は,うつ病や不安,睡眠障害,注意力,意志決定の低下などを引き起こすが,MF によってCEN を活性化するとDMN 活動が抑制されることが分かっている.このようなMF による注意機能ネットワークの再編成は慢性疼痛患者の脳機能や構造に重要な変化を起こすことを通して,疼痛の軽減に役立つ可能性がある.

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