【書評論文】村田雄二郎、C・ラマール編 『漢字圏の近代-ことばと国家』(2005年)

書誌事項

タイトル別名
  • 書評論文 村田雄二郎、C・ラマール編『漢字圏の近代 : ことばと国家』(2005年)
  • ショヒョウ ロンブン ムラタ ユウジロウ 、 C ・ ラマールヘン 『 カンジケン ノ キンダイ : コトバ ト コッカ 』(2005ネン)
  • 【ショヒョウ ロンブン】ムラタ ユウジロウ、 C ・ ラマール ヘン 『カンジケン ノ キンダイ -コトバ ト コッカ』 (2005ネン)
  • 【BOOK REVIEW】Book Review of“ The Modern Times of Chinese Character Group: Languages and States"

この論文をさがす

抄録

type:text

本書は、漢字圏における近代国語の成立について、横の比較という視点を組み込むことで、より立体的な歴史像を浮き彫りにすることを目的に編まれた。「国語」をめぐる思想や運動には、各国特有の文脈や環境に応じた差異がみられることが、本書から読み取れる。相互の参照を通じて、各「国語」における漢字の位置づけや規範化をめぐる異同も明らかにされる。本書は、以下の3 部からなる。1 )「ことばと権力」では、近代ナショナリズム批判の関数として国語問題が定位され、ことばと権力をめぐる問題が無数に開かれていることが指摘されている。2 )「古典からの離脱」では、中国・日本における俗語革命について論じられている。3 )「異なる文字体系の狭間で」では、近代東アジア地域において試みられた新たな書きことばとしての「国語」の創出過程が吟味されている。しかしながら、本書のポイントの1 つである近代という概念ついては十分に論じられていない上、「ことばと国家」の関係も十分に議論されていないと考えられる。本稿においては、本書の概要をまとめた上で、本書の構成、内容および課題について考察する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ