鶏の副腎に分布する血管の走査電顕的所見

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  • Scanning electron microscopic observation of the vascular supply in the cock's adrenal gland
  • ニワトリ ノ フクジン ニ ブンプスル ケッカン ノ ソウサ デンケンテキ シ

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抄録

鶏の副腎に分布する血管のポリエステル樹脂注入標本を作製し,これを主として走査電顕で観察した.得られた結果は次のとおりである. (1) 左側の副腎動脈はほとんどの例で下行大動脈から起こり,なかには前腎動脈から分かれる例もみられた.右側の副腎動脈はほとんどの例で前腎動脈から分かれ,そのほかに下行大動脈から起こる細い動脈を有する例も稀にみられた.副腎に達した動脈は,実質表面を前方へ走りながら分枝を繰り返し,実質内で径10~30μm の細枝となり,さらに径5μm 内外の毛細血管へと移行した. (2) 副腎門脈は,躯幹背側の皮膚,浅菱形筋,広背筋後部,前翼膜張筋,外肋間筋,前腸転子筋および後腸転子筋の静脈が1本にまとまり, それに腹腔内で肋骨挙筋からの静脈, 椎骨静脈および後胸筋静脈の分枝が加わったものからなっていた.副腎に達した門脈は,副腎実質を覆いこむように分枝し,分枝が進むにつれて門脈間の吻合が多くなった.そして,それらの分枝は実質毛細血管網の形成に主体的な役割を果していた. (3)副腎の毛細血管は,樹枝状に伸びた静脈に2次, 3次的に連なり,集合静脈に移行した.左側の副腎では,集合静脈が前・後2本の副腎静脈に集まって後大静脈に注ぎ,右側副腎では,3~7本の集合静脈がそのまま副腎静脈となって後大静脈に注いでいた.

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