鶏尾腺の微細構造について

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  • Fine structure of the chicken uropygial gland
  • ケイ ビセン ノ ビサイ コウゾウ ニ ツイテ

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抄録

鶏の尾腺細胞を電顕的に観察した.白色レグホーン種の尾腺をs-Collidineで緩衝した1%オスミック酸液(pH 7.4)で2~3時間固定後,漸強エタノール列で脱水,Luft法よりEpon812に包埋した.超薄切片を作ったのち,酢酸ウランと硝酸鉛の重染色を行ない,日立HU-11 D-S型電子顕微鏡で観察した.その結果は次のとおりである. 腺胞の辺縁部には未熟な腺細胞が位置し, 表層部に行くにしたがって成熟の度を加え最表層の細胞はホロクリン分泌によって腺腔内へ離脱する. 腺胞辺縁部の未熟細胞は少量の細胞質と大型の核を有し, 細胞質には遊離のリボゾームが豊富で, s-ER, r-ER, ミトコンドリア, トノフィラメントも少量含まれるが, Golgi装置の発達は悪く,脂肪滴は全く含まれない. 腺細胞は成熟するにつれて細胞質とs-ER の増加がみられ,それとともに脂肪滴並びに,顆粒状の内部構造を有し限界膜に包まれた dense bodies が出現する. 脂肪滴は限界膜を有さず扁平なs-ER で部分的に囲まれ,しかもs-ER 腔と脂肪滴との間にしばしば連絡部が見られる.一方,このように細胞内に脂肪滴が出現してもGolgi装置は未発達のままであり,両者の間に特別な関係は見い出せない. したがって鶏の尾腺細胞における脂質の合成や脂肪滴の形成はもっぱらs-ER によって行なわれる可能性が強い. s-ER がよく発達し,多量の脂肪滴を含む表層部の成熟細胞は,やがて核濃縮と細胞小器官の変性を経て,遂には細胞崩壊片となって腺腔内へ離脱する.

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