田口卯吉の自由貿易論と在来思想 : 明治初期の著作を中心に

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  • タグチ ウキチ ノ ジユウ ボウエキロン ト ザイライ シソウ : メイジ ショキ ノ チョサク オ チュウシン ニ
  • Elements of Confucianism in TAGUCHI Ukichi's theory of free trade : mainly in the early Meiji era

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本稿の目的は、明治初期における田口卯吉(1855-1905)の自由貿易論について、西洋経済学との異同ではなく在来思想の面から考察することにある。江戸時代末に生まれた田口には、「理」や「天性」を重んじる儒学、あるいは英語などの素養があった。英語という素養の前提があったとしても、欧米のどの学問を受容するか多様な選択肢がある時代状況の中で、主にイギリスの古典派経済学や社会学が腑に落ちたのは、それに共鳴しうる発想が彼に中に存在していたからだと考えられる。田口の自由貿易論には、朱子学、古学、老荘(「無為」の思想)など、学派としては反発しあう発想さえ含む在来思想が融合している様を見ることができる。つまり、このような融合した在来思想に基づく思考が、外来の学問や思想の受け皿になっていたと考えることができる。

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