Reflections on the New Right of Habitation of Surviving Spouse in the Japanese Succession Law : Compared to the New Right of Habitation in the Chinese Civil Code in 2020

Bibliographic Information

Other Title
  • 新生的日本配偶居住权制度评析 : 兼与2020年中国《民法典》居住权制度相比较
  • シンセイテキニホンハイグウキョジュウケンセイドヒョウセキ : ケンヨ2020ネンチュウゴク≪ミンポウテン≫キョジュウケンセイドソウヒカク

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2018年の日本の相続法大改正は多くの事項を対象とするものであるが,そのうち,「配偶者居住権」制度は新設のものである。他方で,2020年5月,中国は,長年の懸案であった統一的民法典をついに制定し,物権編に「居住権」という権利を新設したことは注目に値する。本稿では,奇しくもほぼ同時期に日中両国が類似の制度を新設した点に鑑み,両者を比較しつつ論じた。  日本の配偶者居住権は,非嫡出子相続差別に対する最高裁の違憲判決が契機となっていると考えられ,法律婚の配偶者(ほとんどが高齢の妻)とその嫡出子側の保護という色彩が強い制度と考えられる。この配偶者居住権は債権と理解されているのに対し,中国の居住権は物権であり,人役権と理解されている。人役権はローマ法に由来し,日本でも旧民法はこれを規定していたが,現行民法典はこれを否定し,今日まで規定されていない。ところで,配偶者居住権は,登記により第三者対抗力が発生し,不法占有者に対する妨害の停止の請求も規定されている。しかし,配偶者居住権の登記をしない場合も予想され,かような場合にもその生存配偶者の要保護性は高い。そのため,解釈を通じての,登記がない生存配偶者の保護の可能性を論じた。もし未登記でも妨害の停止の請求ができると言えるのであれば,この配偶者居住権は物権に接近し,人役権の性質を帯びてくると考えられる。  最後に,この新制度が「居住」という事実的要素を用いている点に注目し,相続権がない内縁の妻等の同居者がなんらかの権利を得る可能性について論じ,ひいては相続の根拠という伝統的問題について新展開が見られる契機となるのではないかという点を指摘した。

Journal

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 54 (3), 105-122, 2020-12-30

    日本比較法研究所

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