<センター教員・共同研究論考>教育におけるコンピテンシーとは何か --その本質的特徴と三重モデル--

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タイトル別名
  • <Articles by the Center Staff and Research Fellows>What Are Competencies in Education? Their Essential Characteristics and the Triple Model

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抄録

本稿では、近年の世界的な教育改革のキー概念であるコンピテンシーについて、代表的な事例の検討をもとに、その本質的特徴を抽出し、「コンピテンシーの三重モデル」を提案した。本質的特徴とは、行為志向である、ホリスティックで統合的である、要求に応えるものである、生涯を通じて発達・変容する、の4点である。「コンピテンシーの三重モデル」には、3つの要素(知識、スキル、態度・価値観)、3つの関係性(対象世界、他者、自己)、3つの層(内的リソース-コンピテンシー(狭義)-行為と省察)という3種類の三つ組が含まれる。このモデルにそって、本稿では、コンピテンシーを「ある要求・課題に対して、内的リソース(知識、スキル、態度・価値観)を結集させつつ、対象世界や他者と関わりながら、行為し省察する能力」と定義した。コンピテンシーをこのように把握することは、カリキュラムと評価に対して、「資質・能力の3つの柱」の見直し、カリキュラムにおける統合の必要性、PEPA(重要科目に埋め込まれたパフォーマンス評価)の提案、コンピテンシーの発達・変容の把握といった具体的な示唆を与える。本稿ではまた、これまでなされてきたコンピテンシーへの批判を、その本質的特徴にそって検討しながら、コンピテンシーという概念の意味的な偏りを浮き彫りにした。と同時に、コンピテンシーの「偏り」が「危うさ」に転化しないようにするためには、コンピテンシーの評価がどう行われているか、要求が誰の・どんな要求か、を注視する必要があることを指摘した。

第一部 論考

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050573243017384960
  • NII論文ID
    120007192862
  • NII書誌ID
    AN10487452
  • HANDLE
    2433/268230
  • ISSN
    13414836
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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