黄表紙『うどん/そば 化物大江山』考

この論文をさがす

抄録

恋川春町『うどん/そば 化物大江山』は安永五年に刊行された黄表紙である。本作は題名の通り源頼光とその四天王が大江山の酒呑童子を退治する「酒呑童子伝説」に寄った作品だが、角書きにあるように登場人物を蕎麦とうどんに見立てているのが特徴である。本稿では、蕎麦がうどんを退治するという話の中で、同じ蕎麦であるはずの夜蕎麦がなぜうどん側の手下なのかを、当時の店売りの蕎麦屋から見た夜蕎麦のイメージを基に考察していくものである。結果として、夜蕎麦にまとわりつく悪いイメージが、蕎麦に対する風評被害を招いており、同じ蕎麦でも店売りの蕎麦からは敵役として描かれるようになったのではないかと結論付けた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ