《論文》アルバート・バンデューラのMoral Disengagement理論から道徳教育への実践的示唆

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本稿の目的はアルバート・バンデューラのmoral disengagement(道徳的判断の麻痺)理論の検討を通して,道徳教育への実践的示唆を引き出すことである。Moral disengagementとは人が非人間的な振る舞いを犯しながら、自尊感情を保ち、自分自身に満足していられることを可能にするメカニズムであり、個人の心理プロセスと社会的文脈が相互に規定し合うものである。バンデューラはmoral disengagementを個人的決定因,行動的決定因,環境的決定因の三つ組の相互的決定によって引き起こされる8つの心理-社会的メカニズムとして概念化していた。この理論において説明される人間が悪を犯すメカニズムを踏まえ、本稿では道徳教育への実践的示唆として、人間が悪を犯すメカニズムの理解を道徳教育のカリキュラムに組み込むこと、moral disengagementのプロセスを実体験として学ぶことの可能性について検討すること、多様な人に対する子どもの共感性を育むこと、の三点を指摘した。

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