脳ドックで発見された脳表ヘモジデリン沈着症の 1例

抄録

脳表ヘモジデリン沈着症(superficial siderosis:SS)は,鉄(ヘモジデリン)が脳表や脊髄表面, 脳実質に沈着し,神経障害を来す稀な神経変性疾患であり,小脳・脳幹などの後頭蓋窩や脊髄を中心 にびまん性・対称性に病変が生じる古典型 SS と限局性に病変が生じる限局型 SS の2種類がある.本 邦では SS の診断基準が作成され,SS が指定難病となったことで,SS が徐々に認知されてきているが, 古典型 SS では感音性難聴や小脳失調等の症状が進行して ADL の低下を生じるため,早期発見・早 期治療が重要であると思われるが,未だその病態は充分に解明されておらず,治療法も確立していな い.今回我々は脳ドックで発見された SS の 1 例を経験した.MRI の発達により今後は今回の症例の ように SS が偶然に発見される機会が増えると思われ,SS という疾患を認知して,発症前や発症早期 の症例することが,病態解明や治療方針の確立に役立つと思われる.

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