重度知的障害者のグループホーム入居に対する親の態度 -重度知的障害のある人の生活の場の移行に関する研究①
抄録
知的障害のある人がグループホームでの生活に移行すること、グループホームでの生活を継続するということには、家族の意向や生活状況が深く関わっている。本研究では、グループホームに入居している重度知的障害者の親5名にインタビュー調査を行い、親がグループホームへの生活の場の移行を決断する背景や思いについて検討した。その結果、親は生活の場の移行を「本人が幸せであるための選択」と位置づけ、背景には「特有の親子関係」「親が手放すタイミング」「本人の生活の場を選択することに対する認識」「将来に対する不安」をめぐる思いがあることが明らかになった。母親の決断の一方で、父親には入居に対する「促進的態度」と「阻害的態度」があり、父親が「阻害的態度」の場合には「促進的態度」への変化を経てグループホームに入居していた。親は子との間に一定の距離を作り、親役割の部分からケア役割を分離させることで、それまでの暮らしに区切りをつける。それは、本人を育てる中で常に大切に考えてきた「本人が幸せである」ことを、過去と今だけではなく、将来に向けての選択であった。グループホームへの入居は移行(Transition)の契機であり、生活の場の移行とケア役割の移行であるとの示唆が得られた。
収録刊行物
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- 秋草学園短期大学紀要
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秋草学園短期大学紀要 (38), 72-93, 2022-03-31
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050573407753369856
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- ISSN
- 09109374
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB