中川政七商店のブランディング戦略 ── デザイン・ドリブン・イノベーションの視点から ──

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  • The Branding Strategy of Nakagawa Masashichi Shoten: From the Viewpoint of the Design-Driven Innovation

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危機的状況に陥っている工芸産業において、工芸品を現代の生活コンテクストに馴染むものにリ・デザインし、工芸産業の産業システムそのものにもイノベーションを巻き起こす中川政七商店の取り組みが注目されている。中川政七商店の取り組みの特徴は、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを基盤に、それを具現化するブランディング・デザインを多面的に推進してきたことにある。本論文の目的は、このようなブランディング・デザインのプロセスがどのように展開され、それが中川政七商店の成功ないしは、工芸産業のイノベーションを可能としてきたのかを明らかにすることである。そこで参考となるのが、ロベルト・ベルガンティが提唱した、デザイン・ドリブン・イノベーションである。  デザイン・ドリブン・イノベーションでは、デザインは、ある製品が持っていた既存の意味を剥ぎ取り、新たな意味を与えるプロセスと捉えられる。中川政七商店の多様な取り組みを分析することで、ビジョンに基づき、既存の工芸品や工芸産業の意味を刷新し、新たなものにリ・デザインしていく徹底的な取り組みが、同社が駆動するデザインの力であることが明らかとなる。それにより、中川政七商店のブランディング・デザインがマーケット・プル(Market Pull)型アプローチでは説明しえるものではなく、工芸産業におけるデザイン・ドリブン・イノベーションの実践であることが示唆される。

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