触覚を用いて食べ物について学ぶ教材「はてなボックス」の活用と評価

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  • Utilization and Evaluation of "Hatena Box" which is the Original Material to learn about Food by Using Tactile Sensation

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抄録

本学栄養学科の食育系課外活動の一つである食育プログラム開発チーム食育戦隊ゴハンジャーが食育活動で使用している「はてなボックス」は、食べ物が入っている箱の中に手を入れ、触った感覚だけで何の食べ物かを当ててもらう教材であり、自身の感覚で食べ物の特徴を発見し、触った特徴が食べ物によって異なることを学ぶことで食べ物に興味・関心を持つきっかけをつくることを目的としている。しかし、これまで対象年齢や効果について、十分な検討を行っていなかった。そこで、本研究では、「はてなボックス」を用いた食育活動がどの年齢区分に有効であるか、また、食べ物に興味・関心を持つきっかけをつくることができるものであるか評価することを目的とした。  対象は、不特定多数の子どもが参加するコープやまぐち主催のコープ生協まつりにおいて、本チームが行う食育体験ブースに参加した303名(有効回答率96.2%)とした。「はてなボックス」の中に入れる野菜は、20種類とし、1人につき5種類に取り組んでもらった。評価にはワークシート型のアンケート調査の結果を用いた。  全対象者において正解率は、ピーマン(90.2%)、ブロッコリー(86.7%)、きゅうり(85.1%)の順で高く、さやえんどう(2.0%)、カリフラワー(2.0%)、れんこん(3.3%)の順で低かった。また、なす、にんにく、そらまめ等の多くの野菜において、年齢区分が上がると、正解率が顕著に上昇した。なお、この活動はどうだったか問う項目に対し、297名(98.0%)が「たのしかった」と回答した。さらに、野菜を触った感想等についての自由記述欄には、未就学児では「細い」「長い」等の単語で表現する記述、小学生では状態の程度を表す言葉や触った形を別の物に例えて表現する記述等がみられた。  以上のことより、「はてなボックス」の中に入れる野菜や対象年齢により、正解率や野菜を触った感想が大きく異なることがわかり、対象年齢に応じて野菜の選択を工夫することで幅広い年代の子どもに効果的な食育を行うことができると推察された。さらに98.0%の子どもがこの活動について楽しかったと回答したことや自由記述の内容から、「はてなボックス」を用いた食育活動は楽しみながら食べ物に興味・関心を持つきっかけをつくることができたと推察された。

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