初代中村七三郎と俳人の交流圏

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  • The Social Interaction of Kabuki Actor NAKAMURA SHICHISABURO the First and HAIKU Poets in Edo Era

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初代中村七三郎は元禄期を代表する歌舞伎役者である。少長と号して俳諧を嗜み、物故の際には追善集『のこる露』が上梓されている。ただし、同書が無名作家による小冊であることから、七三郎は当時の江戸俳壇の中心から離れた存在だったと位置付けられている。そこで本稿では、元禄期の俳書を調査し、句の贈答や入集状況等をもとに、その交流圏を考察することで、七三郎が江戸俳壇の中心人物である蕉門の其角と親交を持ち、また、当時勢力を保持していた調和や不角らの周辺俳人とも交流、また京俳人や、其角門でもあった赤穂浪士らとも近い距離にいたことを明らかにする。さらには、本調査により、原本は所在不明ながら、断片的な記事から、『のこる露』以外にも江戸俳壇の重鎮らによる追善集が刊行されていた可能性のあることが判明した。七三郎をモデルとした浮世草子、後代の役者による顕彰、都市江戸におけるシンボル化という問題も併せて考察する。

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