単一仮想記憶型OSにおける外部スケジューラの実装

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  • An External Scheduler Model for a Single Address Space Operating System

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抄録

現在我々が開発中のOS(Cubix(CUBe of 2 byte unIX)は,広大な64ビット・アドレス空間を利用した単一仮想記憶空間のモデルを採用している.これにアクセス制御リストに基づくメモリ・セクションと呼ぶページ単位の高機能メモリ保護機能を導入し,プロセス間通信(IPC)をサブルーチン・コールと同様な形式で安全かつ高速に実行するための機構を提供することによって,OSの通信コストを低減させることを目標としている.本OSで提供しているIPC方式には,EPC(External Procedure Call)とITC(Inter Thread Communication)の2つが用意されており,前者は単一スレッドによるメモリ・セクション間コール,後者は複数スレッド間での通信のために用いられる.これら各IPC方式における性能評価を行った結果から,EPCでの速度向上はかなり認められたものの,ITCではスレッド切替え時に呼ばれるスケジューラのオーバヘッドが大きく,性能が劣るという問題点があった. 本OSでは,スケジューラをマイクロカーネル方式に基づき,カーネル外部に出すことにより,"カーネルの単純化"と"スケジューリング方式の高度化"の両立を狙っている.初期の外部スケジューラは,その役割に応じて,スレッドの選択や待ち行列操作を行うポリシー部と,選択された次期実行スレッドへの切替えのみを担当するメカニズム部とに分離されていたが,今回改良した試作版外部スケジューラでは,メカニズム実現部として次期実行スレッドの固定的な選択・切替え操作,ポリシー実現部としてプライオリティ制御などによる待ち行列操作,という2階層に分けて実現することにより,スケジューラが外部にあっても高速に動作するための仕組みを提供した.

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