かな及び2級英語点字自動翻訳システム(2)
書誌事項
- タイトル別名
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- Kana and english braille to printed letters
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説明
視覚障害者にとって自由に文字を読み書きする手段として一般に使用されているのは、点字である。しかし、点字では晴眼者と文書によるコミュニケーションはできない。そこで英文タイプやかなタイプ、点字ワープロ等を利用して通常のインク文字(以下墨字と呼ぶ)を作成している視覚障害者も多い。しかし、これらの機器を使いこなすためにはある程度のスキルが必要とされるため、すべての視覚障書者が簡単に利用できるというものではない。英文タイプやかなタイプはキーの配列さえ完全にマスターすれば、とにかく打つことはできるようになる。しかし、いったん打たれた文字の修正、確認をすることは非常に困難である。オプタコンという一種の文字読取装置を使用して、ある程度の修正や確認はできるが、オプタコンを使いこなすことは大変難しい。また、オプタコンはかなり高価なため、個人で簡単に所有できるものではない。以上の点から考えて、英文タイプやかなタイプは視覚障害者が墨字文を作成するために自由に使いこなせる機器とはいえない。次にあげた点字ワープロは点字キーボードから入力されたファイルを基に墨字文を作成するものである。現在、日本においていくつかの機種が開発されているが、これらはすべて漢字を点字で表記した漢字点字を入力としている。漢字点字と通常の漢字は、一対一に対応しているので、漢字点字体系をマスターしている人はこれにより完全な漢字かな混じり文を作成できる。しかし、ここでも問題がある。漢字点字の表記法は二種類存在するが、これらはいずれも非常に複雑で、マスターするまでには1年から3年、もしくはそれ以上の期間が必要である。最近、点字ワープロの普及に伴い、漢字点字は広がりつつあるが利用者の数はまだ少ない。したがって、点字ワープロも現在のところ視覚障害者にとって身近な機器とはいえない。では、視覚障害者にとって、「一体どんな機器が最も適しているのか」に答えることは大変難しい問題であり、現在調査研究を重ねているところである。そこで、まず第一段階として、点字キーボードを利用して通常のかな点字および英語点字を入力し、墨字文を作成するシステムを試作した。第32回全国大会で、筆者は『かな及び2級英語点字自動翻訳システム』について発表しているが、これは通常のキーボードから入力されたデータファイルをかなおよび2級英語点字に変換し点字プリンターに出力するものであった。今回のシステムは、この逆変換を行うもの、つまり点字キーボードから入力されたかなおよび2級英語点字のデータファイルをJIS C 6220の図形キャラクターに変換し、通常のプリンターに出力するものである。このシステムの利用により視覚障害者は容易にかな英語混じり文が作成でき、晴眼者との文書によるコミュニケーションがより円滑に行なえるのではないかと期待される。
収録刊行物
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- 全国大会講演論文集
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全国大会講演論文集 第33回 (自然言語処理), 1715-1716, 1986-10-01
情報処理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050574047095790336
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- NII書誌ID
- AN00349328
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- conference paper
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- データソース種別
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- IRDB