幼児の音とかかわる姿にみる気づきと保育への影響 ―3歳児クラスの新聞紙を用いた創造的な音遊びを通して―

書誌事項

タイトル別名
  • Awareness of infants' sound and their impact on childcare -Through creative sound-play using newspapers in the 3-year-old class-

抄録

本研究の目的は、新聞紙を用いた創造的な音遊びプログラムを経験することにより、日常の生活や遊びの場面において、3歳児クラスの子どもに、音に関してどのような気づきが生起されたのか、また、どのように保育の展開につながり生かされたのかについて明らかにし、本プログラムの及ぼす影響について検証することである。 音遊びプログラム開始後に、担任保育士の記録と検討会から、子どもの特徴的な事例および省察を抽出し、考察した。その結果、3歳児クラスの子どもの気づきは、日常の生活や遊びの場面において、「音への興味関心」「音の探究」「音遊びから楽器選択へ」と、次第に高次な気づきへと変容していた。また、音楽を特徴付けている要素である「強弱」や「音色」に対する気づきも認められた。音遊びプログラムにおいて、新聞紙に向き合いながら、音と多面的に、かつ、丁寧にかかわったことが、子どもの気づきを促していた可能性が考えられた。日々の保育の中で子どもが音に興味関心をもち、子どもの音とのかかわりが深まっていった姿から、担任保育士の環境構成が音を意識して行われるようになった。このことから、音遊びプログラムは、担任保育士に「音」という一つの視座を提供できたと推察した。本研究の新聞紙を用いた音遊びプログラムは、子どもの気づきを促した点と、保育への影響がみられた点において、一定の有用性があったと考えられた。

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