日本の古典に見る災害対処の文化論 : 「今昔物語集」の霊鬼 3

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タイトル別名
  • Cultural Theory of the Accident Handle seen in a Japanese Classically : Specters of “konjakumonogatarisyuu” 3
  • ニホン ノ コテン ニ ミル サイガイ タイショ ノ ブンカロン : 「 コンジャク モノガタリシュウ 」 ノ レイキ(3)

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抄録

論文(Article)

「今昔物語集 巻第二十七 本朝付靈鬼」を素材とした本シリーズの完結編である。平安時代に入ると、漢字かな混合文体が出現し、国風文化成立に伴なう文運の隆盛が到来していたと評されることもある。それは一方では事実であろうが、未だ、文字認知、識字率が底辺にあったものと推測される当該期に於いて、そこで生み出されていた数々の作品を、未だ多くの人々が自由に読みこなしていたとは考えることができない。そうした読者の存在を想定した形での作品ではあっても、実際には「語り部」の如き言語技術者に依って、その内容を読み聞かせていた可能性を排除することはできないのである。本稿の主眼は、中国、韓半島・朝鮮半島を中心とした東アジア文化圏の中で培われて来た交流の結果として、日本に定着していた思想を基盤としながら、それが再評価され、日本風に解釈し直された作業の結果として、そうした国風文化の中にも見られる対災害観・対災異観が醸成されて行ったことを「作品」を通して検証することにある。ここでは、日本に於ける対災害観・対災異観や、災害・災異対処の様相を、意図して作られ、又、読者の存在が意識された「文学作品」―「今昔物語集」をその素材としながら、「災害対処の文化論」として窺おうとしたものである。作品としての文学、説話の中に如何なる対災害観・対災異観の反映が見られるのか、或いは、見られないのかに関して、追究を試みたものである。

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