シュタイナーとフランクル : 楽観主義と悲観主義

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タイトル別名
  • Optimismus und Pessimismus, Versuch über einen Vergleich zwischen R. Steiner und V. E. Frankl
  • シュタイナー ト フランクル : ラッカン シュギ ト ヒカン シュギ

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抄録

シュタイナーとフランクルは中心的な活動分野こそ異なるものの、その思想には多くの類似点が見出される。本稿では楽観主義と悲観主義、およびそれらと関連する快、不快、苦悩、平静などに注目して、両者の思想を比較考察する。一般に楽観主義・悲観主義は快・不快と関連づけて捉えられることが多いが、シュタイナーとフランクルはいずれも快は結果として生じるものであって目標ではないとする。そして快・不快に基づいて人生を考えること、快を目標として捉えること自体が誤りだと指摘している。また快・不快の比較については、比較自体はどうにか可能かもしれないが、人間の行動には本来、影響を与えないと主張している。フランクルは苦悩を重視し、苦悩に耐えることによって人間は成長すると考えている。これに対しシュタイナーは平静の重要性を指摘する。ここでの平静とは「苦悩しないこと」「苦悩せずに済ませること」として理解することも可能だが、そこに至る過程においては苦悩に耐えることが必要になる。この点からすれば、フランクルが語る苦悩とシュタイナーが語る平静には、重なる部分が大きいといえそうである。フランクルもシュタイナーも、自らの立場を楽観主義だと明言しているわけではない。ただし楽観主義を「人生あるいは未来に希望を見出す立場」といった形で捉えるならば、両者とも楽観主義の立場を取っていると判断して 差し支えないと思われる。

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