大人のありそうもない話に対する幼児の反応

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  • Preschooler's reaction to an adult's improbable talks

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抄録

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本研究では,大人からありそうもない話を聞かされた時の幼児の反応とその発達的変化を明らかにすることを目的とした。調査者(若い女性)は,幼稚園の年少児,年中児,年長児との何気ない遊びや会話の中で,「実は100歳なんだ」(調査1)または「実は空が飛べるんだ」(調査2)と発言し,その時の幼児の反応を観察し記録した。幼児の反応は,5 つの主要なカテゴリー(真に受ける,困惑する,驚く,疑う,笑う)と「困惑する」カテゴリーに含まれる7 つの下位カテゴリー(固まる,微笑む,聞き流す,戸惑う,首を傾げる,舌を出す,話題を変える)に分けられた。その結果,年少児では真に受けたり困惑したりする反応が多く見られ,年中児ではそれらに加えて驚いたり疑ったりする反応がよく見られるようになった。年長児になると疑う反応が増加し,笑う反応も見られるようになった。また年中児では,複数の反応の組み合わせのバリエーションが最も多く見られ,信じ込みと疑いとの間で揺れ動いていることがうかがえた。以上の結果は,大人のありそうもない話に対する幼児の実践的な反応の発達過程と,現実か虚構か,真実か嘘かという二分法を超えた幼児の反応の多様性という観点から考察された。

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