サラブレッド種競走馬の感染性皮膚炎からの細菌・真菌の分離同定と薬剤感受性調査

書誌事項

タイトル別名
  • The isolation, identification, and antimicrobial susceptibility of bacteria and fungi from the skin of Thoroughbred racehorses with infectious dermatitis

抄録

感染性皮膚炎を発症した133頭のサラブレッド種競走馬について,病変から好気性細菌270株,真菌141株を分離し,これらの同定と細菌の薬剤感受性を調査した。同定には光学顕微鏡検査,MALDI-TOF/MS法16S rDNA解析,もしくは28S rDNA解析を用いた。薬剤感受性試験にはディスク拡散法を使用した。分離細菌の半数(137株)をStaphylococcus属が占め,ついでCorynebacterium属33株であった。真菌ではPenicillium属26株,Paecilomyces属15株などであった。細菌,真菌ともに菌株の多くが日和見感染体であることが示唆された。また分離細菌の内容は健康な人の皮膚細菌叢に類似しており,これは競走馬が清潔に飼養されている故と推察された。Staphylococcus属の薬剤感受性を調べると,耐性を示した検体は71株(51.8%)であり,フルオロキノロン,テトラサイクリン,セフェムに対する耐性割合は総じて6%以下であった。ペニシリン(PC)とアンピシリン(ABPC)に対する耐性率は高かったが,これらは周辺環境でほとんど使用されていなかった。また,PC,ABPCに対する耐性において,自然宿主がヒトであるブドウ球菌は自然宿主が動物であるブドウ球菌よりもかなり高かった。それ故,耐性株は人間の生活環境から競走馬に移行している可能性があると考えられた。

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