208材・210材の乾燥特性及び強度性能の解明

書誌事項

タイトル別名
  • 208ザイ ・ 210ザイ ノ カンソウ トクセイ オヨビ キョウド セイノウ ノ カイメイ

この論文をさがす

抄録

大径材の大断面を活かした横架材としての利用を検討するため、枠組壁工法で使用されるカラマツ及びスギ大径A材丸太から208材;50×205×4,000mm、210材;50×255×4,000mmを製材し、その乾燥特性及び曲げ強度性能について検討した。その結果、10日間の80℃蒸気式中温乾燥で、カラマツはおよそ12%に、スギは8%の含水率に仕上がった。210材の製材後の反りは、カラマツが平均4.6mm/4m、スギが平均7.5mm/4mであり、スギが大きかった。また、製材後はほとんどが木表側に発生した。210材の乾燥後の反りは、カラマツが平均3.9mm/4m、スギが平均7.4mm/4mとなり、製材後と比較して大きな差はなかった。しかし、反る方向が製材後(木表側)とは反対側に反る材が多かった。210材の乾燥後の曲がりは、カラマツが平均2.9mm/4m、スギが平均3.7mm/4mであり、スギが大きかった。210材の乾燥後のカップ(幅ぞり)は、カラマツが平均1.78mm/235mm、スギが平均2.55mm/235mmであり、スギが大きかった。210材の乾燥後のねじれは、カラマツが平均10.1mm/4mに対しスギが平均3.0mm/4mでカラマツのねじれが目立った。乾燥後に問題となるような大きな曲がりやカップ(幅ぞり)はなかった。目視等級区分による等級格付けでは、特級・1級に格付けされた材は、カラマツ210材が88%、スギ210材が56%であった。目視等級区分ではねじれの許容基準が大きいためカラマツのねじれによる低位格付けは少なかった。目視等級区分で下位に格付けされる因子は、カラマツでは厚さに係る節と反りが、スギについては圧倒的に反りであった。210材における見かけのヤング係数の平均は、カラマツ、スギの順に12.69kN/mm2、8.15kN/mm2であり、カラマツは高いヤング係数を示した。210材における曲げ強さの平均は、カラマツ、スギの順に48.4kN/mm2,37.5kN/mm2であり、カラマツは強い強度性能を示した。208材においては外側木取りのためか210材よりもさらに高い強度性能を示した。カラマツ大径材から枠組壁工法住宅に使用する横架材の208材や210材を製材した場合、乾燥による形質変化に大きな問題はなく、曲げ強度性能も高いことから十分に利用可能であると思われる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ