ラオス農村の溜め池における異なる飼育条件での在来種養魚の収支評価 : ラオス南部天水田域における農民参加型の試験事例

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タイトル別名
  • Evaluation of the economic feasibility of pond aquaculture in rural Laos using indigenous fish species under different input regimes : A case study of participatory trials in a rainfed rural village of southern Laos

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抄録

ラオスでは農山村部における栄養不足の改善が課題で,特に農村部での動物タンパク質摂取量の欠如が問題とされている。同国政府は,動物タンパク質源の増産のためにティラピアなどの外来種を用いた養魚を進めてきたが,外来種が同国の魚類多様性に与える影響が懸念されている。また,養魚は主に都市部周辺で行われ,遠隔農村部への養魚供給は限定的である。従って,在来魚類を用いた農村部での養魚振興が必要である。しかし,経済的に劣る農村部では,高コストな養魚施設を設けるよりは水田地帯に点在する溜め池を利用した養魚を副業として実施することが望ましい。また,農民のインセンティブの観点から,自家消費だけでなく,養魚販売による現金収入源としてのフィージビリティ検証も広域普及の観点から必要である。こうした背景から本研究では,同国在来種のキノボリウオ,ジャワゴイ及びカイヤンを対象として,南部の農村内の溜め池を用い,養魚密度・給餌条件を変えた試験を2017-2020年の間に3回行い,各回の収支を評価した。また,農民による技術適用の観点から,農民が試験実施者として参加し,飼育管理を担当した。その結果,2017年度に実施した高密度飼育・大量給餌手法(集約型)の方が,2018年度及び2019年度の低密度放流・少量給餌手法(半粗放型)よりも高い収益が見込まれ,農民の経済的インセンティブの観点から,養魚の広域普及には集約型養魚の方がより推奨されるものと考えられた。

収録刊行物

  • 開発学研究

    開発学研究 31 (3), 1-9, 2021-03

    藤沢 : 日本国際地域開発学会

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