マツタケの省力的栽培技術の開発

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タイトル別名
  • Development of simple cultivation technology for Tricholoma matsutake
  • マツタケ ノ ショウリョクテキ サイバイ ギジュツ ノ カイハツ

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抄録

マツタケの生産は,アカマツ林の環境整備施業によって維持されてきたが,近年では,森林所有者や生産者の高齢化によって,施業の維持が困難になっている。また,アカマツ林も高樹齢化し,マツタケ生産林としては,壮齢期に入りつつある。そこで,効率的なアカマツ林の更新と,環境整備施業を省力化したマツタケ栽培基礎技術の開発に取り組んだ。最初に,宿主へ接種するための種菌について,マツタケ菌糸の活性化を試みた。その結果,アカマツのデンプンを添加した培地では,マツタケ菌糸は菌糸束を形成し,空中に伸長した。また,デンプンとグリコーゲンを添加した培地では,菌糸の伸長促進効果と,糖化酵素であるグルコアミラーゼの活性化を確認した。さらに,酵素の無効吸着を抑制するフィチン酸の培地添加試験では,菌糸の伸長促進効果を示した。これらの試験により,マツタケ菌糸の活性化を図ることが可能になった。効率的なアカマツ林の更新については,軽量なフレコンバッグに現地の土壌を詰めることにより,簡易に凸型地形を成型することが可能であった。このフレコンバッグ上に播種することにより,獣害を予防し,マツタケの感染部位である細根を損傷することなく,アカマツとツガの幼苗を育成することができた。しかし,苗木根系への接種試験では,種菌が高温や乾燥など気象被害を受けることや,虫害を受けて死滅することが判った。そのため今後は,感染苗による接種方法の検討も不可欠と考えられた。

収録刊行物

  • 研究報告

    研究報告 (35), 1-16, 2020-03

    勝央町 (岡山県) : 岡山県農林水産総合センター森林研究所

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