北海道日高地方軽種馬地帯草地の土壌と牧草の微量必須元素セレンの問題点

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  • ホッカイドウ ヒダカ チホウ ケイタネウマ チタイ クサチ ノ ドジョウ ト ボクソウ ノ ビリョウ ヒッス ゲンソ セレン ノ モンダイテン

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抄録

北海道日高地域の軽種馬生産地帯牧場の土壌と牧草のセレン含有率を調べたところつぎのことが明らかになった。1)全土壌の平均Se含有率は0.53±0.3mg/kgであった。最も高い土壌は黒ぼく土で0.76(mg/kg)あり,褐色低地土と灰色低地土は最も低く,共に0.41(mg/kg)であった。2)牧草(チモシー)乾物当たりのSe含有率の全体の平均値は0.02(mg/kg)であり,飼養標準の1/5であった。特に岩屑土と黒ぼく土の含有率は低く0.01(mg/kg)以下であった。3)牧草地のSe含有率は土壌のSe含有率とは相関がなく,土壌pHと1%水準で正の相関があった。4)土壌中のSeの上限は土壌中遊離酸化鉄含有率のほぼ1/13,000のところに上限があり,遊離酸化鉄が1%でSeは0.7(mg/kg),3%で2.0(mg/kg)である。5)植物中Se含有率は遊離酸化鉄とは反比例的に減少し,遊離酸化鉄が0.3%で植物体Seは0.03(mg/kg)以上にならない。6)日高の軽種馬生産地帯ではいずれもSe欠乏条件にあり,この地帯の草のみでは馬の白筋症の発現は免れない条件にある。7)土壌中Seの含有率は植物中Se含有率の目安にはならず,家畜のSe欠乏症の基準にはならない。

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