搾乳牛における乳量,乳脂量,乳タンパク量(あるいはSNF量)と生産寿命の経済価値(1)

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  • サクニュウギュウ ニ オケル ニュウリョウ,ニュウシリョウ,ニュウタンパクリョウ(アルイハ SNFリョウ)ト セイサン ジュミョウ ノ ケイザイ カチ(1)

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抄録

農林水産省の牛乳生産費調査や飼料をめぐる情勢をもとに,搾乳牛の1~7産までの生涯にわたる平均乳量や乳成分量,初産分娩から淘汰までの生産寿命,維持飼料を除いた産乳に要する飼料費をもとに,搾乳牛1頭の1年あたりのRevenue(R)とcost(C)をAllaire and Gibson(1992)に従って数式化し,その効率(R/C)を乳量,乳脂量,乳タンパク量(あるいはSNF量)および生産寿命で偏微分して経済価値を求めた。粒飼料品質として,TDN65,60%,粗飼料TDNキロ単価(44,50,92.87円),配合飼料TDNキロ単価(65,75,85円)を設定し,飼料費上昇に伴う経済価値の推移を見た。その結果,乳をmilk(carrier),乳脂量,SNF量およびmilk(carrier),乳脂量,乳タンパク量に分けた両区分において,kg単位ではmilk(carrier)の経済価値は加工乳と飲用乳と加工乳とのおおよその平均を示す平均乳で最も低かったが,遺伝標準偏差単位では,飲用乳と平均乳でmilk(carrier)の経済価値が最も高かった。さらに,遺伝標準偏差単位では,飼料費が高くなるにつれ,平均乳とりわけ飲用乳では他の成分に対して相対的にmilkの経済価値が上がり,飼料費上昇でも平均乳とりわけ飲用乳では,milkの遺伝的な経済価値は高く,milkの育種価が高い牛の経済的有利性を示した。飲用乳の乳脂量のkg単位での経済価値は,乳の区分がmilk,乳脂量,SNF区分およびmilk,乳脂量,乳タンパク量区分のいずれにおいても,他の成分(milk corrier,SNF量,乳タンパク量)に比べ極めて低かった。さらに,飼料費の上昇に伴い,飲用乳における遺伝標準偏差単位での乳脂量の経済価値の低下が大きく,飲用乳では,飼料費の上昇につれ,乳脂量の遺伝的な経済価値が低下した。一方,加工乳では飲用乳に比べて飼料費が高くなっても遺伝標準単位での乳脂量,乳タンパク量やSNF量の経済価値の低下が小さく,加工乳では乳脂量,乳タンパク量やSNF量の育種価が高い牛の経済的有利性が示された。飲用乳では飼料費の上昇とともに産乳成分の生産寿命に対する遺伝的な経済価値がわずかに上昇した。

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