銀行持株会社の取締役のグループ子会社に関する内部統制システムの構築・運用義務 ─東京地裁令和2年2月27日判決─

書誌事項

タイトル別名
  • ギンコウ モチカブ ガイシャ ノ トリシマリヤク ノ グループ コガイシャ ニ カンスル ナイブ トウセイ システム ノ コウチク ・ ウンヨウ ギム : トウキョウ チサイ レイワ 2ネン 2ガツ 27ニチ ハンケツ
  • ―Duties of Directors of Bank Holding Companies to establish and operate an Internal Control System for Corporate Groups―

この論文をさがす

抄録

application/pdf

text

東京地裁令和2年2月27日判決では、改正前銀行法の下、銀行持株会社が子会社銀行に対して行う経営管理は法律上の義務ではなく、またその経営管理の内容は、子会社銀行の株主としての権利行使を通じて子会社銀行の業務について基本方針を定めることや、同銀行の取締役を選任することなどであり、上記基本方針が遵守されているかを監督し必要に応じ是正を求めることを意味しており、したがって内部統制システムの円滑な運用に支障を来すような事情が見受けられない場合に、子会社に対して具体的な業務を直接指導するなどの義務を負うことはないとされた。そして、詳細な事実関係の検討の下、子会社銀行の融資先に反社会的勢力が入り込んでいたことへの対応策を怠ったことを理由とする銀行持株会社取締役の責任は認められないとされた。この裁判所の判断につき、少なくとも事実関係の評価につき疑問がある。本件において一定程度の内部統制制度の構築は為されていたと評価できるが、その運用・是正については、問題点があったのではないか。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ