講演 御歌所歌人の書における役割

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  • コウエン オウタドコロ カジン ノ ショ ニ オケル ヤクワリ

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抄録

大口周魚や阪正臣の書家あるいは書道史研究者としての活動を確認すれば理解される通り、御歌所歌人の書における役割には特筆すべきものがある。今回の講演では、明治天皇の和歌愛好と御歌所設置の経緯、さらに御歌所の職制などに加えて、御歌所歌人の同時代的な評価について言及する。その上で寄人を務めた阪正臣、専従職員として御歌所を支えた大口周魚を例に、書の実作家として、また、書道史研究者としての御歌所歌人の役割を確認する。これらを通して、彼らの仕事が、現在の書学書道史において重要な基礎を形成していることが明らかにされるものと考える。彼らは、和歌研究の一端として古筆研究に取り組んでいるが、それは同時に書道史研究としての側面も内包している。肉筆、肉声を原則とする宮廷歌壇で培った書家としての技量や知識は、各種の教材や展覧会における活動に結びついて、近代書壇の重要な一角を形成している。彼らに端を発した平安古筆尊重の姿勢はその後の書壇にも引き継がれ、彼らの門に誕生した次世代の活動によって今日にも連なっているのである。

identifier:KG003000011417

収録刊行物

  • 京都語文

    京都語文 30 5-17, 2022-11-26

    佛教大学国語国文学会

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