小説とマルチ・モーダリティ -W.G.Sebaldの作品を通じて-

書誌事項

タイトル別名
  • ショウセツ ト マルチ ・ モーダリティ : W. G. Sebald ノ サクヒン オ ツウジテ

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説明

2000年代に入ってから英国内の書唐にGraphic Novelsというセクションが出現し,そのエリアは年々拡大している様子である。「画像付き小説」と訳してしまえば小説本来の文字テクストに写真や図像などのヴィジュアル要素を加えたもの,という意味合いが強い。しかしながら言語と画像という2つの異なるモードの組み合わせは「単純加算」ということでは片付けられない。Baetens&Frey(2015)は従来のcartoonではなくgraphic novelsというカテゴリーに入れられている作品の体系的分析について考察しているが,この傾向,つまり小説という本来文字が主要モードとしてテクストを構築してきたジャンルにヴィジュアル要素が取り入れられるといった,小説のマルチ・モーダル化の傾向は無視できないものとなっている。「画像付き小説」というと子供向けの絵本や児童文学を思い浮かべることが多いが,ここにきて「小説」というジャンルにおけるヴィジュアル要素の再考察が必要になってきているのではないか,というのが本論考の出発点である。

収録刊行物

  • 文芸研究

    文芸研究 129 35-44, 2016-03-26

    明治大学文学部文芸研究会

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