親権に関する立法不作為を理由とする国家賠償訴訟と人権アプローチ : 東京地判R 3 ・2 ・17(平31年(ワ)7514号)

書誌事項

タイトル別名
  • State Redress Lawsuits for Legislative Failure to Amend the Sole Custody System after Divorce : From a Human Rights Approach : Tokyo District Court Decision 17 Feb 2021 (Heisei 31 (Wa) 7514)

抄録

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本稿で取り上げる東京地裁令和3年2月17日判決(平31(ワ)7514号)は,離婚後の単独親権を定めた民法の規定を改廃する立法措置を執らない立法不作為について国家賠償法上の違法性を否定した初めての判決である。本件は,日本人同士の日本での離婚により親権者とされなかった父親による訴えであり,事実関係に渉外性はないが,裁判上の離婚により親の一方のみが親権者として指定される離婚後の単独親権制度(民法819条2項)の改廃の必要性について,憲法13条,14条1項,24条2項のほか,自由権規約,児童の権利条約,子の奪取に関するハーグ条約といった国際条約の諸規定(ハーグ条約については条約の理念)を取り上げており,また,外国で離婚した父母の戸籍上では離婚後の共同親権が記載される現行の戸籍実務につき,外国裁判の承認による結果にすぎないと述べている点で,国際私法の観点からの検討に適うところがあると思われたため,判例研究として検討を行ったものである。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 56 (2), 215-237, 2022-09-30

    日本比較法研究所

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