時系列データに基づいたテンサイ一代雑種とその両親の生育比較

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タイトル別名
  • Comparison based on time-series data of the growth between F1 and its parents in sugar beet (Beta vulgaris ssp. vulgaris)

抄録

テンサイのF1(「NK235BR×NK195BR」)とその両親(「NK235BR」および「NK195BR」)に対して時系列でおおむね1週間ごとに生育調査を行い,生育パターンの特徴について検討した。総葉数は,計測開始した6月から8月までは有意な系統間差が認められたものの,収穫前となる9月以降は差が認められなかった。葉数増加速度は親系統「NK235BR」が最も高かった。また,総葉数から生存葉数を差し引いたターンオーバーした(新しいものに置き換わった)葉数の推定値は,移植後116日目(116DAT)まではF1が多かったものの,最終的には両親のほうがF1より著しく多かった。草丈は,計測開始時から系統間差が認められ,生育期間全体にわたりF1が両親より有意に高く推移した。草丈のピークは,116DAT頃であった。一方,SPAD値は,7月初旬頃までは有意な系統間差は認められなかったが,100DATを過ぎた8月以降では有意差が認められた。F1のSPAD値は,両親よりもピークに達するまでの期間が短い傾向を示したが,最終的には両親のほぼ中間値であった。葉面積指数(LAI)は,80DAT以降,有意な系統間差が認められ,「NK235BR×NK195BR」および「NK235BR」が「NK195BR」より大きかった。また,収穫期前には成葉が枯れることでいずれの系統もLAIが低下したが,「NK235BR」が「NK235BR×NK195BR」より高かった。「NK235BR」は,「NK195BR」および「NK235BR×NK195BR」よりも成葉の枯れが少なく,SPAD値の低下程度は少なかった。SPAD値の変動を追跡することにより,LAIが低下し始める時期を判定する情報として応用可能であることが示唆された。またSPAD値の変動と合わせ,連続的な展開葉数と生存葉数の関係からターンオーバーした葉数を推定することで,葉の寿命推定の可能性も示唆された。

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