タイムラプスカメラを用いた潮下帯に移植されたアサリ稚貝を捕食する魚類の観察

書誌事項

タイトル別名
  • Under water observation of fish predators for asari clam Ruditapes philippinarum juveniles transplanted using time-lapse camera
  • タイムラプスカメラ オ モチイタ チョウ シタオビ ニ イショク サレタ アサリチガイ オ ホショク スル ギョルイ ノ カンサツ

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説明

アサリ稚貝移植後の食害実態を把握するため,三河湾の潮下帯に位置する漁場にアサリ稚貝を試験移植し,タイムラプスカメラによる観察を行い,出現種や出現動向を明らかにした。夜間を除く約二日間計48,000画像により,クロダイ(10,307個体),ヘダイ(1,064個体)及びキチヌ(561個体)及びギマ(7,914個体)が記録された。稚貝移植後,午後の上げ潮で水深100cmを超えた水深から,ギマの出現が認められ,以降ヘダイ亜科3種が上げ潮から高潮位時にかけて長期間にわたり確認された。これらの魚類は,吻部を海底に押し付け口を開ける様子など、穴掘り採食行動に類する摂餌行動が確認され,移植したアサリ稚貝を摂餌していると考えられた。稚貝密度は,移植後1カ月間で約19%に低下した。今回,潮下帯での撮影によって確認された魚類の出現頻度は,アサリ資源水準が高かった過去の事例の10倍以上高く,周辺にアサリが現存しない中で試験区へ局所的に稚貝が移植されたため,より高密度に蝟集した可能性が考えられた。以上から,近年の食害リスクの増大や魚類の生態や行動に対応したアサリ稚貝の移植方法の検討に加え,他の二枚貝等の底生生物も含めた干潟における豊かな餌資源を回復させるための内湾環境改善が本質的に重要であると考えられた。

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