「ひだほまれ」の施肥体系が生育,収量及び品質に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of fertilization system on growth, yield and quality in sake brewing rice ‘Hidahomare’
  • 「 ヒダホマレ 」 ノ セヒ タイケイ ガ セイイク 、 シュウリョウ オヨビ ヒンシツ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

「ひだほまれ」は岐阜県内中山間地域で栽培される心白が大きく、大粒の酒造好適米品種である。近年の水稲栽培では労働力が不足しており、省力的な栽培方法の確立が求められている。そこで本研究では、全量基肥を利用した「ひだほまれ」の省力栽培について検討を行った。その結果、全量基肥肥料で栽培した場合、基肥と穂肥体系の慣行栽培体系で栽培した場合と比較し、収量は同等~増加した。ただし、千粒重が小さく、心白発現率、心白率が低くなる傾向がみられたため、それらが酒質へ与える影響を調査したところ、酒質への大きな影響は見られなかった。また、全量基肥肥料の施肥量によっては玄米の粗蛋白質含有率が高くなり、生製酒中のアミノ酸度が高くなる可能性が示唆された。しかし、施肥量の調整でアミノ酸度は制御可能で、適正な施肥量で栽培することで慣行栽培体系と同等の生製酒が得られた。発酵過程においてはもろみ日数は同じか短く、日本酒度はやや低い値であったが、アルコール度数は同様に得られたことから、特別な醸造条件を設定する必要はないと考えられた。これらのことから、玄米の粗蛋白質量に注意を払い、施肥量を調整すれば、省力化のための全量基肥肥料の現地導入が可能であると考えられた。

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