ボカスギ大径材の構造利用技術の開発(1) : 心去り平角材の仕上がり品質と曲げ強度性能

書誌事項

タイトル別名
  • Development of structural utilization technology for large diameter boka-sugi (Cryptomeria japonica D.Don) log I. : Finish quality and bending properties of flat squares without pith
  • ボカスギ タイケイザイ ノ コウゾウ リヨウ ギジュツ ノ カイハツ(1)シン サリ ヒラカクザイ ノ シアガリ ヒンシツ ト マゲ キョウド セイノウ

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抄録

70年生前後の林分から入手したボカスギ大径材(丸太)の利用について、2丁取り採取される心去り平角材を検討したところ、建築用構造材として求められる仕上がり品質と曲げ強度性能の両面について以下の特徴が明らかとなった。1)立木伐採後の葉がらし、あるいは製材後の高温セットや背割り加工、以上の異なる前処理をした3種類の心去り平角材に対して天然乾燥試験を行ったところ、いずれの試験体も7ヶ月間以内に、含水率の平均値が16.4~17.4%となり、構造材に求められる目標基準値の20%以下となった。また、約80℃の中温による人工乾燥試験では、約2週間で試験体の含水率の平均値が12.1%となった。2)心去り平角材の仕上がり外観は、広い面の木表側が木裏側に比べて節が少なく美観に優れていた。材面割れは、主に広い面の木表側に現れたものの、割れ幅が1mmに達しないものがほとんどで軽微であった。また乾燥方法の違いによる顕著な差はみられなかった。3)JASの機械等級区分材および目視等級区分材の曲げ性能の基準値と比較したところ、心去り平角材は、機械等級ではE50、E70に、目視等級では1級から3級に該当しており等級外のものはなかった。また、その曲げ強さは各等級の基準強度を満たし、構造材に適することを確認した。4)原木丸太の材質ならびに心去り平角材への影響を調べたところ、丸太の動的ヤング係数(E fr)は2番玉の平均値で7.26kN/mm2となり、元玉(4.86kN/mm2)に比べて約1.5倍高かった。採取された心去り平角材の曲げヤング係数は丸太のE frとの相関が高く、伐採・玉切りの段階で2番玉を仕分けすることでE70以上の心去り平角材を効率的に採取できることが示された。また、番玉の区別がついていなくてもE frを測定して5.9kN/mm2以上の丸太を選抜することでE70以上の心去り平角材を効率的に採取できることがわかった。こうした方法による丸太の選抜は、心去り平角材の機械等級の歩留りを上げるのに有効であることが示された。

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