気候変動下の春キャベツおよび秋冬どりダイコンにおける生育モデル手法の活用技術開発

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タイトル別名
  • Development and application of growth models for spring cabbage and winter radish under climate change
  • キコウ ヘンドウ カ ノ ハル キャベツ オヨビ アキ フユドリ ダイコン ニ オケル セイイク モデル シュホウ ノ カツヨウ ギジュツ カイハツ

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抄録

本論文は,生育モデルの手法を活用した2つの研究課題から構成される。いずれも世界的な問題になっている地球温暖化や気候変動がキャベツおよびダイコンの生育に及ぼす影響について,現時点では顕在化していない,或いは把握できない影響を定量評価し,「見える化」する試みである。春キャベツ(Brassica oleracea var. capitata L.)については,各産地が品種や作期を選択することによって回避している早期抽苔のリスクを予測する手法に関する研究である。抽苔した株は葉数が少ないことが知られていることから、本研究では,花芽分化期の結球葉数と早期抽苔の関係に着目して,日平均気温の積算値に基づく花芽分化期の推定および結球葉数の推定によって早期抽苔の発生予測を行った。その結果、花芽分化期の結球葉数(>1 g)が概ね6.5枚以下のとき,早期抽苔するリスクが高いことを明らかにし,花芽分化期を推定するDVRモデルおよび結球葉数を推定する一次関数式から早期抽苔リスクの発生を予測する手法を開発した。秋冬どりダイコン(Raphanus sativus L. var. longipinnatus L. H. Bailey)については,根部新鮮重の増加を日平均気温,日日射量および播種日を用いて予測する機構的モデルに関する研究である。このモデルの構造は,日平均気温データから求める葉面積と日日射量データから植物体の受光量を求め,これを日日射遮蔽量(DIR)とし,これに日射利用係数(RUE)を乗じて日乾物生産量(TDW)を求めるものである。さらに,葉数の関数である根部分配率および積算温度の関数である根部乾物率から根部新鮮重(RFW)を求めた。この生育モデルを用い,全球気候モデルMIROC5および温暖化ガス排出シナリオRCP8.5に基づく2050年の温度条件,さらに日射量を10%増減させて,シミュレーションを行った。その結果,9月7日~10月12日播種(三浦)における2050年の収穫期は6~56日前進,29~212%増収というような定量評価ができることを明らかにした。

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