果実由来アントシアニンの赤色に対するアスコルビン酸の影響と還元剤添加による退色防止効果

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タイトル別名
  • Fading of anthocyanin color by ascorbic acid and anti-fading effect of reducing agents
  • カジツ ユライ アントシアニン ノ アカイロ ニ タイスル アスコルビンサン ノ エイキョウ ト カンゲンザイ テンカ ニ ヨル タイショク ボウシ コウカ

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抄録

アスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸によるアントシアニンの赤色に対する退色作用と還元剤および酸化剤を用いた退色防止効果について検討した。アントシアニン溶液にアスコルビン酸を添加すると濃度増加に伴い退色が促進され,短時間高温処理または中温長期間保存など熱が加わると退色はより促進された。アスコルビン酸を含むアントシアニン溶液に還元剤であるシステインやグルタチオンまたは,酸化防止剤であるフェルラ酸を添加すると,退色速度は抑制された。デヒドロアスコルビン酸添加による退色は,アスコルビン酸と同様の傾向を示した。デヒドロアスコルビン酸を含むアントシアニン溶液に還元剤および酸化防止剤を添加したところ,いずれの退色抑制作用も小さく,還元剤の添加では退色を促進した。これらの結果は,シアニジン3-グルコシド以外のアントシアニンにおいても共通であった。生鮮果実や野菜に含まれるアスコルビン酸のほとんどがアスコルビン酸であることから,アントシアニンの退色はアスコルビン酸によるものと考えられた。これらのことより,果実加工品のアスコルビン酸による退色には,システインなどの還元剤の添加が有効であることが明らかとなった。

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