貝殻部修復過程の観察による養殖用アコヤガイの健康状態の推定

書誌事項

タイトル別名
  • Shell repair process as a health indicator in cultured Japanese pearl oyster Pinctada fucata martensii

この論文をさがす

説明

本研究では,真珠生産用養殖アコヤガイの衰弱・成長不良の早期発見を目的に,アコヤガイの健康状態を簡便且つ安価に推定可能な形態的指標の開発を,欠損した鱗片状突起を含む貝殻部修復に着目し,試みた。アコヤガイ1年貝を給餌・無給餌状態でそれぞれ6週間飼育し,修復過程の真珠層・稜中層境界部から鱗片状突起先端までの長さ(PLL)と栄養状態との関係を調査した。その結果,給餌区の個体は無給餌区と比較して高い成長率が確認され,さらに従来から栄養状態の指標として用いられてきた閉殻筋重量や閉殻筋グリコーゲン量においても高い値が得られた。PLL(PLL/殻高)比は実験開始から試験4週目までは,両区の間で有意な差は確認されなかった。しかし,試験4週目で鱗片状突起を含む貝殻の腹縁を切除した後では,無給餌区で切除部の再生がほとんど確認されなかったのに対し,給餌区では速やかな再生が確認された。この時,鱗片状突起の修復過程において,閉殻筋グリコーゲン量とPLL比の間に高い正の相関(r=0.7416)が認められた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ