気象変動に伴う豪雨による金時の色流れ粒発生リスク回避のための晩播および窒素施肥対応

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タイトル別名
  • Late sowing and nitrogen fertilizer recommendation or fending off the kidney bean’s decolorization caused by heavy rainfall stemming from the climate change
  • キショウ ヘンドウ ニ トモナウ ゴウウ ニ ヨル キントキ ノ イロ ナガレ リュウ ハッセイ リスク カイヒ ノ タメ ノ バンハン オヨビ チッソ セヒ タイオウ

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抄録

金時の色流れ粒発生リスクの回避を目的とし,金時生産の現地調査と圃場試験を行った。現場では一般的に金時の播種期は5月下旬~6月上旬が推奨され,この理由は成熟期を9月中旬以前とし,後作である秋まき小麦を適期に播種(9月下旬)するためであった。しかし近年の気象変動の影響で,最近10年間(2009~2018年)は9月中旬以前の昇温・降雨変動の激化傾向が顕著となり,降雨リスクが最も小さい時期は9月下旬に遷移した。金時の色流れ粒率は成熟期前10日間の積算降水量と有意(P<0.01)な正の相関関係にあったことから,色流れ粒リスクを最小にするには成熟期を9月下旬に設定すべきと判断された。ただし後作の秋まき小麦の適期播種を優先する場合には,9月中旬以前とせざるを得ない。金時の生育日数(播種期~成熟期)と日平均気温(播種期~成熟期)は密接な負の相関関係にあったことから,この回帰式を用いれば9月下旬等任意の目標成熟期に応じた播種期を設定できる。色流れ粒発生リスクを下げるために現在の慣行播種期(5月下旬~6月上旬)よりも遅い播種期とする場合(晩播,6月中旬~下旬),生育および窒素吸収が旺盛となり多収化するものの,倒伏のリスクが高まる。加えて開花期に窒素追肥を行うと,葉落ち悪化のリスクも高まるので,窒素追肥は避けるべきと判断された。

収録刊行物

  • 北農

    北農 89 (1), 2-10, 2022-01

    札幌 : 北農会

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