戦前社会教育行政における宗教の位置づけ : 乗杉嘉寿と川本宇之介の言説を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • センゼン シャカイ キョウイク ギョウセイ ニ オケル シュウキョウ ノ イチズケ : ジョウスギカジュ ト カワモトウノスケ ノ ゲンセツ オ チュウシン ニ
  • The Position of Religion in Social Pedagogical Administration Before WWII : Focusing on Kaju NORISUGI and Unosuke KAWAMOTO

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抄録

日露戦後経営期における宗教利用論の高まりに反して、1920 年代前半の文部省社会教育行政で宗教を利用する具体的施策が展開しなかったのは何故なのか。普通学務局第四課の乗杉嘉寿及び川本宇之介の言説を分析し、戦前社会教育行政における宗教の位置づけを明らかにする。両者とも、知識偏重の学校教育への批判をもとに、神仏への忠誠的態度である「宗教的信念」を重視し、教育者の信念による感化こそ真の教育であると考えた。原理的には宗教的信念を重視されたが、社会教育行政として出発間もない第四課には、社会教育行政の領域を確立するために、宗教の行う教育・慈善事業と行政として行う社会教育との境界を明瞭にすることが求められた。また天皇制理念とは異なる、個人の信念の利用を通して教育を補完するという論理は、ある種の危険性を抱えるため原理的次元に留めざるを得ず、1920 年代前半の時点では具体的な社会教育行政の施策に結実させることは出来なかった。

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