世界遺産登録後の熊野古道伊勢路観光の変化について

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  • セカイ イサン トウロク ゴ ノ クマノ コドウ イセロ カンコウ ノ ヘンカ ニ ツイテ

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抄録

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本稿では、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を対象として、遺産登録後の観光客数の変化、そして観光客の特徴の変化を把握しようとした。対象は三重県側の世界遺産、すなわち熊野古道伊勢路である。熊野古道伊勢路の訪問者数の推移をみると、2004 年の世界遺産登録後、順調に増加してきた。三重県が、5 年ごとに登録記念年として多種の事業を企画してきた影響が強い。ただし峠・地点別にみると、浜街道・花の窟への来訪者の集中が強まっており、2014 年以降、他の峠では総じて観光客数は減少傾向に入った。そしてコロナ禍の中で、訪問者が多い松本峠・馬越峠と他の峠との差が拡大している。次に、東紀州の観光全体の中でとらえると、伊勢路の来訪者数は約1 割を占めている。観光客の特徴について、2001 年の調査結果と2021〜2022 年の調査結果を比較すると、中高年世代が中心となっていることや、多くの来訪者にとって熊野古道がハイキングや自然を楽しむ場として認識されていることは変わっていない。ただし、特に県外からの客と初めての客の場合は、熊野古道が世界遺産であることが古道訪問の大きな要因となっており、その歴史・文化も魅力と捉えられている。

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